燃料を満タンにすると、約2千`走行可能な「プリウス」が作られた。エンジンを改造し、ガソリンだけでなくLPガスでも走行可能にした。この「ハイブリッド+バイフューエル・プリウス(以下、LPGプリウス)」は、燃費性能ばかりでなく、CO2(二酸化炭素)排出量もベース車よりも少ない究極のエコカーになっている。 このLPGプリウスは、経済産業省の補助事業「ハイブリッドカーのLPG化実現可能性の実証と普及可能性調査」として、島村精機(嶋村和佳社長、東京都荒川区)とエネクスクリーンパワーエネジー(古田洋二社長、東京都江東区)が取り組み、開発した。LPG対応は、韓国エクシオン社の技術で行われたため、ひと足早く韓国で開かれた「2008ガスコリア」でお目見えした。
ハイブリッドで高い燃費性能を持つプリウスをガソリン、LPGのバイフューエルに仕上げた狙いは、さらなるCO2排出の低減と、価格が高騰したガソリンをLPガスに置き換え、ランニングコストを削減するためだ。韓国での測定モードでは、LPGプリウスのCO2排出は74c/`b。ガソリン・プリウスの排出量(韓国内カタログ値)に対し13%ほど低減している。1500tガソリン車の排出量が144c/`bだからほぼ半分といってよい。
現在、日本でも環境性能データを取得中で、JC08モードによる実測で、CO2排出量はガソリン・プリウスより7〜8%ほど低い。
韓国で試作されたLPGプリウスは、85gLPG容器搭載車と45gLPG容器搭載車の2台。日本に戻っているのは容器検査の関係で、国内で使用が認められている85g容器搭載車だが、このLPGプリウスで燃費データを元に計算すると、もともと装備されているガソリン(タンク容量45g)とLPGを1回満タンにして、約2千`の走行が可能になる。
ガソリン価格の暫定税率が元に戻ったと仮定して約150円/g、LPGの個人ユーザー売り100円/gとすると、2千`の走行に必要とする燃料代は1万5千円弱という計算だ。ただ、85gLPG容器を搭載すると、トランクが容器でいっぱいになってしまうため、実用化するには45g容器へと小型化することが必要になる。これでも1回の満タンで1500`は走行可能になる。
現在、LPGプリウスは、実走行ができるよう登録申請の手続きを進めているところだ。先進LPG車の一つとして、神戸(5月17、18日)、横浜(6月7、8日)で開かれる「エコカーワールド2008」、さらに6月19〜21日に北海道札幌市の札幌ドームで開かれる「北海道洞爺湖サミット記念環境総合展2008」で登場する予定。試乗も可能になる見込みだ。
LPGプリウスに搭載されたLPGインジェクションは、LPGを液体のまま吹き込む電子制御液体噴射式。性能はガソリンのEFIエンジンと変わらない。始動時はガソリンで、しばらくするとLPGに切り替わる。エンジンが温まればそのままLPGでも始動するようになる。LPGがなくなったとき、手元のスイッチで切り替え、ガソリンだけでも走行できる。
ベース車が、プリウスだからモーター、ガソリン、LPGの三つのモードで走行しているわけだ。ガソリンからLPGに切り替わるとき、カチッと音がするそうだが、運転していて気になることはなかった。その意味で普通の「プリウス」だ。
また、LPGはガソリンより燃焼温度が高いため、ガスケット類などに対策が必要になる。LPGプリウスは、エンジンが3500回転に達すると、LPGからガソリンに自動的に切り替わり、燃焼温度を下げる。燃料の切り替えでエンジンの負荷を和らげ、耐久性を維持する対策を施した。
原油価格の高騰は、LPG価格も押し上げている。LPGの現在の国内最大の需要家であるタクシー業界が、この対策で車両として選択し始めたのがプリウス。一般のタクシーが、プリウスに切り替われば、その分、LPGの需要が細る。LPGハイブリッドは、LPガス業界にとって待望の1台でもあるようだ。
.[2008年4月30日 17時24分 日刊自動車新聞 ]
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